休日の「小さいけれど確かな幸せ」~駁二芸術特区を散策~
インスピレーションが湧かない休日の午後は、駁二芸術特区へと足を運ぶことが多い。ここではいつも何かしら、素敵な場所やイベントに出会えるからだ。たとえば、大義倉庫エリアの一角にある「泊·月白moonmist」は、日々の生活になじむ古道具やアート、茶席を扱うお店である。
店名の「月白」とは月が出る前の青白い空の色を、「泊」とは短い滞在を意味している。店内は「月白」の名にふさわしく、淡いグレーや青を基調としたシンプルなグラデーションで、さまざまな作品の背景になる。ここでは毎月異なるテーマのもと、国内外の工芸家による手作りの器などが展示され、現代生活における伝統工芸の美の実践の場ともなっている。
2階は畳の茶席空間だということで、午後に茶席体験コースを予約し、お茶ソムリエのお手製抹茶をいただいた。和菓子がのせられた半透明の小皿は、日本のガラス工芸家である佐藤幸惠さんの今期展示作品だとか。店長の思瑾さんは、「茶席で、生活とアートの距離を近づけることができれば」と語る。
ゆったりとお茶を味わった後は、引き続き駁二芸術特区を散策する。6/22(土)~23(日)には蓬萊エリアの野外広場、6/29(土)~6/30(日)には大義エリアのレンガ通りで、「小人物行銷工作室」の企画による「涼」、「絵」、「時」をテーマとした夏のアートフェスティバルが開かれている。
人々の行き交う広場に、手作りアートの出店がずらりと並ぶ。可愛らしい挿絵作品の前で足を止めれば、作家が創作のコンセプトについて語ってくれる。DIY体験で、自分だけのオリジナル作品を作るのも楽しい。屋台から漂うおいしそうな香りにお腹が鳴り、ふともう空が暗くなりかかっていることに気づく。とはいえ、まだ慌てて帰宅する必要はない。イルミネーションの光がともり、心地よい潮風が吹くなか、街頭芸人の歌声があたりに響く。真夏の夜の祭典は、これからが本番なのだ。