「烏魚」の食文化 人と歴史の記憶をのせて
「烏魚(ウーユー)」とは、中国語でボラのこと。数百年の間、毎年冬至の頃になると、ボラの群れがまるで約束したかのように台湾西南の沿海一帯に南下し産卵する。そのため、ボラは「信魚」(約束を守る魚)の別名を持ち、漁師たちの間で神聖な魚とされてきた。また、この季節のボラは脂がのって卵が多く、白子(精巣)、へそ(幽門)、からすみ(卵巣)などの各部位が高値で取引されることから、「烏金」とも呼ばれる。ボラは高雄の代表的な特産物の一つであるだけでなく、高雄の人々の生活に欠かせない存在であり、しばしば文学の題材ともされてきた。ボラの食文化には、人と歴史の記憶が刻み込まれている。今年3月、陳其邁市長は「2023年東京食品展」に出席し、高雄のからすみを世界の人々に紹介した。
からすみは、弱火で炙った後で薄切りにし、にんにくの芽やりんごなど添えて食べるのがおすすめだ。濃厚な香りとやわらかい口あたり、甘くて塩辛い味わいが特徴のからすみは、台湾の食卓の主役であり、新年のごちそうにも欠かせない高級食材である。
高雄の老舗からすみ店「珍芳烏魚子」は、創業から60年にわたって地元のからすみ産業と文化を支えてきた。三代目店主の林威廷さんは、幼い頃からボラの季節に店の前でからすみを干す両親の姿を見て育ったという。からすみ作りは手間のかかる仕事である。新鮮なボラの卵を塩漬けにして乾燥させた後、木板の層に挟んで石の重みで成型しながら、うまみを中に閉じ込めていく。「台湾のからすみは、板でゆっくりと圧迫する製法により、水分が抜けてしっかりとした弾力のある口あたりになり、形状も整っているのです」と林さんは語る。
からすみの製法は時代とともに変化してきた。昔は天日にさらして乾燥させたが、今は専門的な機械で細かな調整を行うことが多く、珍芳烏魚子では「気温調節室」の中で低温熟成させることで品質を確保している。だが、製造技術がいくら進歩しても、からすみのおいしさの秘訣が「人」にあることは、今も昔も変わらないと林さんは語る。例えば、加工の途中で皮が破れると塩分濃度が基準値を超えてしまうため、血管の洗浄や修復といった繊細な工程は、今でも熟練職人が手作業で行っている。代々受け継がれてきた伝統の技が、世界に誇る高雄のからすみの味を守っているのだ。
烏魚飲食文化 乘載人情和歷史記憶
數百年來,冬至前後,烏魚群如約而至,洄游南下至台灣西南沿海一帶產卵,故烏魚又名「信魚」(意涵守信用的魚),是漁民心中神聖的魚,此時的烏魚肉質肥美,魚卵飽滿,烏魚的烏魚膘、烏魚腱、魚卵市場價值高,故被稱為「烏金」。烏魚的飲食文化乘載著人情和歷史記憶,烏魚之於高雄人,見於生活,也見於文學,可說是高雄最具代表性的特產之一,今年3月,市長陳其邁在「2023年東京食品展」開心地向國際友人大力推薦來自高雄的烏魚子。
品嚐烏魚子,以文火烤炙後切片,佐以蒜苗或蘋果,入口香氣馥郁、鮮鹹甘香、口感軟糯,成為餐桌上的極品珍饈,也是年節餐桌上的要角。
烏魚子製程繁複,高雄「珍芳烏魚子」經營烏魚子產業文化逾1甲子,第三代林威廷說,以前每到烏魚季節,父母就在店門口的騎樓曬烏魚子。新鮮烏魚卵經過醃漬和初步乾燥後,以木板層疊,並利用石頭重量加壓塑形,將美味精華完整封存。林威廷說:「臺灣烏魚子因為經過壓板,水分少,口感更紮實有彈性,形體也更完整。」
烏魚子的製法隨時代更迭,從過往的吹風日曬,轉變為精準專業的機器控制。珍芳烏魚子透過「氣溫調節室」中低溫熟成,確保品質。林威廷表示,就算製程革新,烏魚子的美味秘訣還是在「人」,製作烏魚子製程中如不慎破裂,鹹度就會超標,清理血管、修補等重要步驟都要仰賴老師傅手工和經驗,成就烏魚子名揚四海的美味。